精選一種vol.001 カエルアンコウ
投稿>精選一種
2021/11/11
生粋の生物マニアがお届けする生き物紹介コーナー。
「精選一種」シリーズの第一回。
今回は Antennarius striatusカエルアンコウ (旧和名:イザリウオ)
名前通りのカエルの様な容姿をしたアンコウ目に分類される魚である。
このカエルアンコウは、とにかく常識外れの魚。
今回は彼らの際立った特徴を紹介しようと思う。
〇同種間での多様な外見
まず、
同種間でここまで外見に個体差のある魚は滅多にいない。
写真は同じ場所で採集した様々な体色のカエルアンコウ。
ちなみに中央の黒いものもカエルアンコウ。
突起だらけの個体もいれば突起の少ない個体もいる。
これらは生息環境に溶け込み擬態するための外見。
各々が自分の姿にあった環境に身を潜めている。
例えば、黒い個体はガンガゼの隣に並んでいたところを採集した。
〇身体構造
見た目通りと言えるが、あまり泳ぎが得意でない。
代わりにカエルアンコウは胸ビレを使って
海底を のそのそ歩き回るという独自の進化を遂げている。
また、鰓孔(えらあな)と呼ばれる器官がある。<写真赤丸印部分>
これは鰓から流れる水の出口であるが、
胸ビレの後方と異様な位置に付いている。
擬態と目立たぬ移動方法で、
天敵から身を隠す能力には長けたカエルアンコウ。
それでも、天敵に襲われた場合、
彼らは最終手段を持っている。
「鰓孔」から水を吹き出す推進力で逃げるのである。
と言いながら、大してスピードは出ず簡単に網に入る魚だが。
〇釣りをする魚
きわめつきの特徴、カエルアンコウは釣りをするのである。
頭部にエスカという疑似餌の器官をもっており、
捕食対象をおびき寄せるのだ。
そして、疑似餌に近づいたところを
大きな口でいっきに吸い込んでしまう。
カエルアンコウが持つエスカはゴカイを模している。
それは巣穴を抜け水中を波打って移動するゴカイの動きそのもの。
とんでもない完成度である。
また、カエルアンコウ科の他種もそれぞれエスカを持っており、
種類によってエスカの構造が異なる。
アミエビを模したエスカを持つ種類を飼育した事があり、
エスカをエビの如くピョンピョンと跳ねさせた後、
ゆっくり沈下させる姿に驚いた。
面白いことに、それはまるでエギングの動きであった。
狙いの魚が水面に見えた時。
目立たない様、そっと足音を立てず忍び寄る。
そっと狙いの魚に目掛けてルアーを投げ誘う。
自分に重ねてしまうのは私だけだろうか。
魚種:カエルアンコウ
日本では南方の温暖な海に生息する。住処は主に岩礁帯や砂地の泥底で、
水深20M以内にいる個体ならダイバーたちも見かけたことがあるのでは。
写真の個体は、水深数十センチから数メートルにて採取したものです。
#精選一種 #魚図鑑
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