精選一種vol.005 やつめ
投稿>精選一種
2022/01/20

生物は古代から進化し続けている。
より優位性のある者が生き残り後世に遺伝子を残していく。
逆もまた然り、
劣位に立たされた者は自然淘汰され姿を消していく。
そんな中、
古代地層から発掘される化石と変わらぬ姿で
現生に生き残り続けている種がいる。
いわゆる生きた化石である。
サメ や シーラカンス は誰もが知る古代魚。
だが、
実はもっと古い形質を残した魚が我々の身近にいる。
Lethenteron spp. スナヤツメ
40種程が現生しているヤツメウナギ。
スナヤツメはその中の一種である。
ウナギに似た魚体と
眼の後方に並ぶ7対の鰓孔を眼に見立て
ヤツメウナギの和名となっている。
ヤツメウナギは無顎類というグループに属する。
“無顎”の名の通り顎が無い。
脊椎動物が口に顎の器官を獲得する以前から
存在する分類群であるとされる。
もう一つ特記すべき点として、
彼らはアンモシーテスと呼ばれる特異な幼生期間がある。
アンモシーテス(背面)
眼が未発達で泥中に含まれる有機物を摂食しながら数年かけて成長する。
これは成体。
変態した後は目が発達し、口の形状も吸盤状になる。
ヤツメウナギ目の多くの種は
河川で幼生期を過ごし、
変態した後には河川を降る。
そして、他の魚に寄生、吸血しながら成長する。
産卵期に再び、河川を昇り産卵する。
といった流れの生活史である。
しかし、スナヤツメが変態後、摂食する事はない。
河川を降りる事も無く、
産卵後は間もなく生涯を終える。
同一水域内で発生を繰り返す本種は、
一時の生息環境の悪化でも、
全ての個体が影響を受け得る。
生息地消滅の危険性は
より高い種であると言えそうだ。
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