生粋の生物マニアがお届けする生き物紹介コーナー。

「精選一種」シリーズの第二回。

アマゴ はサケ属(Oncorhynchus属)に分類される。

種としての”サケ（鮭）”とは 近縁種 である。

ご存知の通り、

サケは海へ下って河川に戻り産卵する。

同属のアマゴも同様に海へ下り、

河川に戻る 生活史を持っている。

ただ、

アマゴ は サケ と違い、全てが海へ下る事は無い。

彼らは「河川残留型（陸封型）」と「降海型」の

二通りの 生存戦略 がある。

1、一生を河川で終える河川残留型は「アマゴ」、

2、河川と海を往復する降海型は「サツキマス」

と和名が与えられている。

サツキマスは冬季に海へ下り、

翌年の春季には河川へ遡上する。

海洋での 生活期間が 半年程度 とサケ属の中でも 極めて短い。

そのため、

サツキマスは 他のサケ属の降海型 と比べると

小型である事も 特徴の一つ。

特に河川へ遡上間もない個体は

2０cm〜 の個体が多い。

降海型、河川残留型の

二通りの生活史を持つ日本のサケ科の魚は、

一般的に緯度が上がる程、

北に行くほど、

降海型となる割合が増える傾向にある。

そのためか、

国内のサケ属の中で最も南方種であるアマゴは、

降海率の少ない種であり

サツキマスになる機会が少ない。

更に床止め工事などにより、

遡上経路を断たれている様な河川も多く、

サツキマスが見られる河川自体が貴重といえる。

少しずつ人間社会の利便性のみに焦点を当てた開発

ばかりでなくなってきた今、

現状維持ではなく、

自然環境を回復させていく事も考えなくてはならない。