日本料理、特に お刺身 などの 魚料理 や 寿司 には

欠かせないワサビ（山葵）。

飛鳥時代から薬草として使用され、最古の史料では

委佐俾三升（わさびさんしょう）の文字が

書かれた 木簡 が残っています。

江戸時代には、徳川家康 も気に入り、門外不出 で

栽培 が始まったと言われています。

さらに1800年代 には 寿司ブーム とともに ワサビは

日本料理に欠かせない 薬味 となっていきました。

伊勢湾で釣れた鰆（さわら）と山葵（わさび）の組み合わせがこれまた旨い。

＜＜山葵の効用＞＞

ワサビの 成分 には、以下のような 効果 があります。

・抗寄生虫効果

　魚類には 寄生虫 がついた個体が多く、

　これらの活動を抑制 する 効果 があります。

　また、お米の 保存シート にも ワサビ成分入り の

　もの が 販売 されています。

・抗菌作用

　黄色ブドウ球菌 や 大腸菌 など、人間にとって有害な

　細菌の繁殖 を 抑える 効果があります。

　防カビ作用 もあるので、冷蔵庫 の 消臭剤 にも

　使用されています。冷蔵庫だけでなく、口臭対策にも貢献します。

・抗癌作用

　あの ツン とくる 香り成分 には、活性酸素を抑え、

　発ガンとがん細胞の 転移を抑える 効果 があることが知られています。

・血液サラサラ効果

　血液中の 血小板 が 凝集 するのを 抑え、血液をサラサラ にする

　血栓予防効果 があります。血液サラサラ効果 により、

　頭の回転が 早くなるとも。

現在でも研究が進められており、

現代人には嬉しい効果がありますが、ワサビの種類によって

効果にもばらつきがあります。

ワサビの 芳香 はあまりにも 強烈 で、寝ている人を必ず 起こすくらい です。

ユニークな利用法として、

眠っている人に、ワサビの匂いを噴射して 必ず起こしてしまう、

「火災報知器」も開発されており、この開発に関わった 日本人 7名 が

イグノーベル賞 を受賞しています。耳の不自由な方でも 就寝中の火災 に

気づくことができる画期的な発明です。

＜＜わさびの種類と特徴＞＞

ワサビの種類 には大きく「本わさび」と「西洋わさび」があります。

日本古来 の ワサビ はもちろん「本ワサビ」です。

しかし、みなさんがよく口にする ワサビ はどんなものですか？

どの家庭にもあるものといえば、チューブタイプの

ワサビではないでしょうか。

このチューブわさび、よくご覧になると わかるのですが、

お店で見ると、「本わさび入り」と「本わさび使用」があること、

ご存知でしたか。

・本わさび入り

　これは、「本ワサビが 50％ 未満」であることを表しています。

・本わさび使用

　これは、「本ワサビが 50％ 以上」使用されていることを表しています。

これは「日本加工わさび協会」で定められた 統一基準 で、

お店で見かけたら 包装箱 を比べてみてください。

価格は、本ワサビの割合が多いほど高くなる傾向です。

ワサビの種類

・西洋ワサビ

これは ホースラディッシュ や 山ワサビ とも

呼ばれ、白っぽいのが 特徴 です。

ヨーロッパ原産で 辛味の強さ と 酸味 が 特徴 です。

日本ではヨーロッパと気候が似ている 北海道 で

多くが栽培されています。チューブタイプ の ワサビの方が

辛く感じるのは、西洋ワサビが多く含まれているからなのです。

・本ワサビ

スーパーでも1本 千円 ほどする

高級品です。西洋ワサビ とは違い、

鮮やかな緑、そして 辛味よりも香り

の強さが特徴。特に 静岡 や 長野 、島根

は 三大わさび産地 と呼ばれ、

名産品 となっています。

本わさびには「沢わさび」と「畑わさび」がありますが、

栽培方法のみ違い、同じ 品種 です。

品種は同じですが、市場価値の差は大きく、

すり下ろす生わさびは 沢ワサビ を、

加工品には 畑ワサビ が多く使用されます。

ワサビの 生育 に良い 条件 としては、

・水温が 12℃〜13℃ 付近で安定していること

・水の 溶存酸素濃度 が高いこと

・水の 養分が豊富 であること

この条件から、渓流水よりも安定した 湧水 が適しています。

冷水を好むところは 岩魚 と同じですね（笑）。

わさびは常に 新鮮な水 を必要としています。

（わさびの花）

日照に関しては、短い日照時間 が適しています。

特に 真夏の日差し には 注意 が必要で、遮光 が必要となります。

このため、わさび田には 日陰樹 を植えることもあります。

（わさび田）

このような 生育条件 から、皆様が想像するように、

水の綺麗な山奥の涼しいところで栽培されているのです。

＜＜わさびの旬って、いつなの？＞＞

わさびは 通年 収穫が可能です。ただし、あのツンとくる 辛さ は、

晩秋から冬 にかけて強くなります。

成長速度が遅い 冬 は茎根が 密 になります。

辛さ が欲しい方にとっては、冬が旬 と言えるでしょう。

わさびの花 を 天麩羅 などで食べたい方は、春に花が咲きます。

＜＜本わさびの選び方＞＞

普段、本わさびを手に取ることがなければ、

どんなものを選んでいいのか迷うことでしょう。

その全ては次の通り、

1、 色は鮮やかな緑色が良い

2、 表面の凹凸が密に詰まっている。

3、 根っこから先端が同じくらいの太さのもの

わさびの表面に見られる 凹凸 は、成長とともに葉が脱落した

痕跡で、凹凸の間隔が広いものは、成長が早すぎます。

成長が早いと、組織が密にならず、風味が乏しく、肉質も柔らかくなります。

密に詰まった 良質なわさび は、手に取るとずっしりとして

重みがあります。

＜＜わさびの美味しいおろし方＞＞

わさびは細かくすりおろした方が 細胞 を壊し、

絡みがよく引き立ちます。

わさびの 辛味成分 は、特に 表皮細胞 の中に多く、

可能なら 皮ごと すりおろす方が、風味を楽しむことができます。

根の先端か、茎が生えていた元の部分からおろすべきか、

辛味成分が豊富なのは、茎の生えていた元の方で、

こちらから すりおろす方が良い とされています。

ただし、保存しながら 何回かに分けて使用する場合は、

風味豊かな方を残すために、根の先端側からでも

構いません。

わさびの 辛味成分 は アリルからし油（アリル イソ チオシアネート）と呼ばれ、

「からし」などのアブラナ科の植物にも含まれています。

細かくおろして空気中の 酸素 に触れることで

あのツーンとくる 辛味 が生成されます。

細かく摺りおろすためには、細かくてザラザラした 鮫皮おろし を使います。

摺る時はあまり力を入れずに ゆっくり練る ようなイメージでおろします。

「わさびは笑いながら摺れ」と、言われるのはこのためです。

初めは強い香りと辛味を感じますが、すぐに無くなってしまいます。

本わさびは辛くないと言われる所以ですね。

独特な変化 を 楽しみながら たっぷりと使いましょう。

（わさびご飯）だし醤油をかけていただいた。

わさびは 金物を嫌う と言われていますので、

もし、ステンレスなどの卸し金を使用した場合は、

早めに 陶磁器 などに 移し替える のが無難。

＜＜わさびの保存方法＞＞

一度使用したものは、湿らせた 新聞紙 などに包み、

ラップで包んで冷蔵庫へ、数日の間に使い切りたい。

使用していなければ、

コップに水を張り、わさびを立てて、冷蔵庫へ。

この時、水は 毎日 入れ替えましょう。1ヶ月 くらいは持ちます。

長期保存 でしたら、ラップに包んで 冷凍 することもできます。

これを使用するときは、解凍せずに 凍ったまますりおろして 使います。

意外と風味が残っています。残りは 解凍されないうちに すぐさま冷凍。

半年以上 は長持ちしますよ。

＜＜わさびは日本伝統のスパイス＞＞

わさびは古くから伝わる 健胃薬 です。

わさびの芳香が食べ物の 抗菌 と、

体の中を温め、のぼせ を抑える 効果がありました。

刺身などは 体の中を冷やす、それをわさびが温める。

日本食にはわさびが欠かせないのです。

皆さんも、一度試してはいかがでしょうか。

天気を気にしながら

前日から準備に勤しみ、

釣り餌屋で何を買うか迷い、

自然との対話を楽しんで、

お魚を食べて、

家族に「美味しい」って言ってもらう。

私が考える「釣り」の定義です。